大朝アグリカルチャーラボ

耕作放棄地を活用した新しい農業の研究プロジェクト。大きな投資、そして大量生産の必要な今までの農業から、小規模で多品種型の『稼げる農業』を研究するブログ

大朝田んぼゼミ2017の第3回目 レンコン収穫体験・なめこ栽培見学・福光酒造蔵の改修手伝い

f:id:agrioasa:20171122145536j:plain 秋も深まり早朝の寒さが厳しくなってきた11月、かつて大朝にあった福光酒造を復活させるプロジェクトの大朝田んぼゼミ2017の第3回目が12日に開講されました。米作りとどぶろく作りを中心に、北広島町大朝での暮らしを体験するこのプロジェクト。一年間で5回の講座を開講し今回はその3回目です。
今回は大朝で栽培されているレンコンの収穫体験の他、なめこの見学と福光酒造の改装のお手伝いを行いました。

 NPO法人INE OASA 代表の堀田高広さんとNPO法人ひろしまジン大学さんが主催の、福光酒造蔵元の福光寛泰さんの酒蔵復興を行う本プロジェクトは台風により9月16日に開講予定のプログラムを中止、一部変更となりました。トラブルに見舞われながらも今回新たに1人の参加者を加えて6人が講座に参加しました。

 

 

もくじ

1. レンコンをとったどー!
2. お昼ごはん
3. なめこ栽培の現場
4. 福光酒造の改装をお手伝い
5. 解散です

 

 

1. レンコンを「とったどー!」

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f:id:agrioasa:20171122150146j:plain 午前10時。会場の土居田屋に集まった参加者たちは本日のプログラムの説明を受けたあと、地元農家の松本さんが栽培するレンコン田を訪れました。松本さんが栽培しているのは岩国レンコン。収穫方法の指導を受けたのち、レンコンにまつわる雑談をしながら収穫を行いました。

 

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 岩国レンコンは主に山口県岩国市で古くから栽培される由緒あるレンコン。通常のレンコンの穴が8個なのに対して岩国レンコンは9個あると言われており、岩国藩主吉川家の家紋である九曜紋に似ていることから、藩主が大変よろこんだという話で有名です。各節が短く丸みを帯びており、こうした特徴が消費者に好まれることから松本さんはこの品種を選ばれたそうです。

 

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 レンコンの食感は節によって違ってくるそうです。最初に成長した細長い節はデンプンを最も多く含むため、調理するとモチモチ食感となり、後にできたものほどデンプンが減るためシャキシャキ食感になります。細長い方から長男、次男、三男と呼び分ける長男はレンコン焼き、次男はきんぴら、三男はおひたしにすると美味しいとのこと。「それは食べてみんとなぁ」ということで収穫したレンコンはすぐに土居田屋に運ばれ、お昼の食卓に並べられることになりました。

 

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 レンコンの収穫は大変な重労働。深さ40cmほどの泥の底にあり、「引っ張るとポコッと折れちゃうので出来るだけ水圧で取って」と教えていただきました。レンコンの穴に泥が入ると泥が取れないためもう食べられなくなってしまうそうです。そのため鎌で切り取るのにも注意が必要です。

 

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一見獣害のなさそうなレンコンですが、実はイノシシやカモが食い荒らすことがあるのだとか。
「頭から突っ込んでくるんかね?」「頭から突っ込んで息ができなくなったりせんのかね?」「イノシシは泥んこ遊びが好きだから」と笑いながら話しました。

 

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「大物狙いじゃ!」慣れてきた二人がどんどん収穫していく様子。
取り出せそうになると周囲から「おぉ!?おぉ!おおー!」。
収穫を終えた時、二人は仕事をやり終えたような満足の表情を浮かべていました。

 

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「フラワーアレンジメントに使えるんじゃない?」蓮の花の部分を持って帰る参加者。

 

 

2. お昼ごはん

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f:id:agrioasa:20171122150946j:plain 土井田屋に戻り、新米と地元の食材、収穫したばかりのレンコンでできたお昼ご飯をいただきました。筆者はレンコンのおひたしが本当に美味しくて、とれたてのレンコンの魅力に初めて気づきました。

 食卓には福光さんや地域おこし協力隊員として大朝に移住した鳥谷明日香さんも加わり「今度は味噌や醤油も(地元で)作りたい」「料理を教わっとる。(地元の人は)手掴みで入れていって…」など興味深い話をしてくださいました。

 

3. なめこ栽培の現場

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f:id:agrioasa:20171122151355j:plain 午後はお昼のお味噌汁にも使われた大朝で栽培されているなめこの見学をしました。なめこの栽培には桜の木を使うのが一番と言われ、収穫時期は6月と11月になります。特徴的なヌメヌメは収穫前のなめこにはなく、表面は硬い肌触りでした。あのヌメヌメ、実は傘の裏側にその元があり、裏側はぶよぶよとした肌触りで、洗うと全体に出てくるのだそうです。「うわぁ!?なにこれぇ?」と、ぶよぶよを知らずに触った参加者が驚いていました。

 福光さんは「大朝には色々なことにチャレンジする面白い人が多いのが魅力。」と言います。大朝には天文学を研究していた方が開いているカフェがあり、また、このなめこが栽培されている森の近くでは鯉の養殖も行なっていました。福光さんは自身の酒蔵で製造するワイン用の葡萄畑の開墾を地元の方に手伝っていただいており、「新しいことが出来るようサポートしてくれたりもしてね、本当に良いところ。」と話しています。

 

4. 福光酒造の改装をお手伝い

f:id:agrioasa:20171122151537j:plain 参加者は改修途中の福光酒造を訪れ、改装のお手伝いを行いました。今回は蔵につながる2箇所の入り口の扉と蔵の柱に自然素材の染料を塗りました。福光さんは「みんなが綺麗にしてくれた店で頑張って行きたい。」「しっかりと酒造りに励みます。」など参加者に意気込みを語ってくださいました。

 

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蔵への入り口。
手前と奥に二か所あり、今回はここの扉の塗装を行いました。

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塗装を終えた扉。塗り残しはありません!!

 

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 訪れた福光酒造は改修が進んでおり、店のカウンター部分がだいぶ出来てきている様子でした。カウンターの内側につながる扉にはかつて蔵にあった樽の蓋が再利用されており、福光さんのこだわりが込められています。

 

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福光さんから参加者に福光酒造の前掛けをプレゼント。

 

 

5. 解散です

f:id:agrioasa:20171122152619j:plain お手伝いを終えた後は土居田屋に戻り、収穫したレンコンをいただきました。本日のお昼ご飯を作ってくださった地元のお母さんは「残っても(全部は)使えんケェ、持って帰りんさい。」「持って帰っても作ってくれる人がおらんかったら仕方ないけど。」と言って下さいます。参加者は頂けることを喜びながらレンコンの長男、次男、三男を見分け、新聞紙に包んでいきます。

 PM4:00 解散です。参加者は次回の参加を約束し、それぞれの帰路につきました。次回は12月9日、10日に開講予定です。